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『フランケンシュタイン』(メアリー・シェリー)1831

作品について

 この作品に関しては色々とご紹介したいことが沢山ありますので

まず箇条書きにしたいと思います!!

 

・女性作家による作品!

・しかも彼女は当時19歳

・初版は匿名で出版されました

・原題は『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』(Frankenstein: or The Mordan Pometheus)。実は副題があるんですね!


 

作者メアリー・シェリーについて 

作品の題名は広く普及していても作者についてはあまり知らない人が多いのではないでしょうか。私もそうでした。

 

この作品を書いたのはイギリス人作家メアリー・シェリーという女性作家です。

 

作者が女性か男性かなどあまり気にしたことがない方も多いかもしれませんが、当時女性作家はまれな存在でした。文学は男性中心の世界だったのです。

さらに初めて出版した際(1818 年)は匿名だったということもあり、世には当時女性が書いたなどとも知られていなかったわけです。

今知れ渡っているのは改定を重ねた第三版(1831)のものだということです。

 

また、私にとって大きな驚きだったのは、彼女が19歳の時に書いた作品だということです。若いですね!!

 

彼女は19歳にしてすでに出産を二回経験していました。この後も2回出産しますが、度重なる赤ん坊の死により、生き残ったのは末っ子のみでした。彼女の人生はなかなか波乱に満ちたものですので興味のある方は調べてみても良いかもしれません。

 

ちなみに、「メアリーの総て」という映画があることをこの作品を読み終えてから知ったので観てみたいなと思っています。

 

 


 

作品誕生の流れ

この作品が誕生した流れもまた興味深いですので手短に紹介いたします。

 

まず、この物語はスイスで生まれました!

 

駆け落ち相手の詩人パーシー・シェリーと(駆け落ちストーリーも知りませんでした..!)スイスを旅行中のある日、スイスの詩人バイロン卿と合流します。

 

気晴らしに、一人ひとりが幽霊話を書こう、というお遊びが始まったのですが、

その時に生まれたアイデアが今の『フランケンシュタイン』へとなったのです!!意外な誕生ですよね。

 

 

感想・コメント

ホラー作品、ってイメージありますか?正直にいうと私はそれくらいしかイメージがありませんでした! 

 

でも実際ホラーというより、悲しみの物語、悲哀なる物語でした。

 

あの獣に魔物性を感じるよりも切なさを感じます。

 

表面上は凶悪、心無い殺人が繰り広げられるホラーのように見えるお話ですが、実際もっと、人間の心について考えさせるような内容がその悪魔性の後ろには流れていました。。

 

フランケンシュタインにより生みだされた「怪物」が、どんなに願っても愛情というものへ触れることが出来ず、そのもどかしさ、苦しいさがつらいです。 ホラーよりもずっと切なく、悲哀、孤独そして愛をテーマにした物語。

 

また、自然が美しく描写されていて、暗い物語の中でより目立ち、綺麗な存在感がありました。

 

最後に

『フランケンシュタイン』を読んだ後、廣野由美子著『批判理論入門』(中公新書)を読みました。今回物語以外の情報(作者の生い立ちや作品誕生の流れ等)はほぼそこから得ました。

 

文学を読むための入門書としても、『フランケンシュタイン』という作品への考察を深める一冊としても読むことができます。

 

個人的にはメアリーに関して色々と知ることができとても良かったです。この本を読まなかったら『フランケンシュタイン』に対してここまで強い想いを抱かなかったと思います。

 

批判理論について基本を知るという観点からもとても分かりやすいのでおすすめいたします!



今回紹介した作品